6682.香港弾圧露骨過ぎ

香港選挙管理当局 穏健派含む民主派12人の立候補を禁止
毎日新聞2020年7月30日 19時24分(最終更新 7月30日 20時13分)

 香港の選挙管理当局は30日、立法会(議会)選挙(定数70、9月6日投開票)に立候補を届け出た民主活動家の黄之鋒氏(23)ら民主派12人の立候補を禁止した。中国が香港の統制を強化するため制定した国家安全維持法(国安法)に反対していることや、政府が立法会に提案する議案を否決すると表明していることなどを理由とした。さらに多くの民主派候補が出馬禁止に追い込まれる可能性がある。

 2016年は「香港独立」を視野に入れた主張をしたとして急進派の6人が出馬を禁じられたが、今回はこれを大きく上回る過去最大の規模。穏健的な民主派も出馬を認められなかった。憲法に当たる香港基本法で保障された被選挙権は、形骸化が顕著になっている。ポンペオ米国務長官は、立法会選が「自由で公正な形」で実施されるよう要求しており、米国は中国への圧力を更に強めそうだ。

 民主派は、立法会選で過半数議席を獲得し、政府提出の予算案を否決するとの目標を掲げている。選管当局は、候補者には「香港政府に忠誠を誓う」ことが義務づけられていると指摘。「予算案の否決」という目標を掲げる候補に出馬の資格はないと判断した。この基準を当てはめれば、大半の民主派候補は今回、出馬できないことになる。

 香港政府は30日の声明で、香港独立の主張や、外国の政府や組織と連携して香港政府の業務に干渉する行為も出馬禁止の理由になるとした。

 民主派は共倒れを防ぐための予備選を7月11、12日に実施し、当初目標を大きく上回る約61万人が投票した。黄氏は30日、ツイッターで「61万人が投票したにもかかわらず、北京はかつてない大規模な締め付けを行った」と香港政府の後ろ盾である中国政府を批判した。【香港・福岡静哉】

 

香港で学生4人逮捕 国安法違反、デモ以外では初めて
BBCニュース2020年7月30日 Tony Chung

,【画像】4人の逮捕者には、香港の独立を訴える若者の団体「学生動源」の鍾翰林元代表が含まれているとされる

香港で29日、香港国家安全維持法(国安法)に違反した疑いで、学生4人が逮捕された。デモ以外で、同法に絡んで逮捕者が出たのはこれが初めて。警察は4人について、国安法が施行された7月1日以降に、ソーシャルメディアで中国からの「分裂を扇動した」疑いがあると述べた。独立を支持する団体「学生動源」は、逮捕された人には鍾翰林元代表が含まれているとした。

同法違反での逮捕はこれまで、抗議デモでのスローガンや横断幕に関するものだった。

 

中国政府が制定した国安法については、香港の自由を損なうとの批判が出ている。これに対し中国政府は、香港で昨年見られたような民主化要求デモを阻止するために必要な法律だと主張している。

◆どんな逮捕だったのか
警察によると、逮捕されたのは16~21歳の男3人と女1人。香港警察に新設された治安維持部門の担当者は、「入手した情報と捜査から、この集団が香港の独立を訴える組織を作ると、ソーシャルメディアで発表したことがわかった」と述べた。また、コンピューターや電話、書類を押収したとした。逮捕された4人は、「学生動源」の元メンバーか、同団体と関係があるとされる。同団体は国安法施行前の6月に解散したが、外国で活動を続けるとしていた。

警察の担当者は、「国安法を破るよう呼びかける者に対しては、それが海外からであろうと、我々は捜査する権限をもつ」と述べた。

ソーシャルメディアには、香港・元朗区で、手錠をはめられ連行される鍾氏の写真が投稿された。学生動源によると、鍾氏は29日午後8時50分ごろ、拘束された。その際、警官らは鍾氏の私物をいくつかの袋に入れて持ち去ったという。

著名な民主化活動家の黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏は、鍾氏が数日間、警察に尾行されていたと述べた。黄氏によると、鍾氏はフェイスブックに「中国のナショナリズム」に関する投稿をしたことで逮捕された。4人の逮捕後まもなく、各人の携帯電話はハッキングされたという。黄氏は、「今夜の逮捕は明らかに、香港のオンライン言論空間に萎縮効果をもたらす」とツイートした。

(英語記事 First 'non-protest' arrests under new Hong Kong law)

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英米豪政府など対中牽制を強めているが効果なし。習近平中央政府は反って、学生逮捕や現役民主派議員資格の事実上はく奪など、民主派弾圧を露骨で容赦ないものとしている。中国政府は明らかにやりすぎ、内部から早晩しっぺ返しを食らう、とみる。

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続報)

香港警察、民主派6人を指名手配 英国に逃れた羅氏ら 国安法違反容疑
時事 8/1(土) 6:05配信

【香港時事】複数の香港メディアは31日、香港警察が羅冠聡氏ら海外在住の民主派6人を「香港国家安全維持法」(国安法)違反容疑で指名手配したと報じた。公共放送RTHKによると、国家分裂を扇動したり、外国勢力と結託して国家の安全に危害を加えたりした疑いが掛けられている。

 2014年の民主派による大規模デモ「雨傘運動」を主導した羅氏は7月2日、米議会の公聴会で国安法について証言したことで身の危険を感じ英国に逃れたと明らかにしている。6人の中には他に、昨年中国当局に拘束された英国の元香港総領事館職員であるサイモン・チェン氏や、政治団体「香港独立連盟」を率いてきた陳家駒氏らが含まれる。

 6人はいずれも海外に拠点を移している民主派。国安法は香港以外での活動や外国人も適用対象としているが、実際に海外在住の活動家に同法が適用されるのは初めて。 

 

香港 選挙延期「コロナを口実の選挙操作」民主派反発強める
NHKウェブニュース 2020年8月1日 6時38分

香港政府はことし9月に予定していた立法会の議員選挙について、新型コロナウイルスの感染拡大を理由に1年間延期すると発表しました。過半数議席獲得を目指していた民主派は、選挙での躍進を阻止しようとする中国政府の意向を受けた判断だとして反発を強めています。香港政府トップの林鄭月娥行政長官は31日夜、記者会見し、ことし9月6日に予定されていた立法会の議員選挙について「新型コロナウイルスの感染が広がっており、市民の安全を守るため」として1年間延期すると発表しました。

香港では6月末に施行された香港国家安全維持法のもとで政治活動への締めつけが強まり、30日には民主派の候補12人が政治的な立場を理由に選挙への立候補を取り消されたばかりで、中国による統制強化への市民の反発を追い風に過半数議席獲得を目指していた民主派は厳しい状況に追い込まれています。

香港当局の一連の決定について民主活動家の黄之鋒氏は「中国政府は反対勢力の過半数獲得を阻止するため、さまざまな手段を取っている。選挙の延期は親中派が負けることを恐れているためだ。中国政府が議員を直接任命しようと考えていることは明らかだ」と述べ、民主派の躍進を阻止しようとする中国政府の意向を受けた判断だとして強く反発しました。

民主派の政党「公民党」も「香港の人々の選挙権を奪うもので、コロナ対策を口実としたあからさまな選挙の操作だ」などと今回の延期の決定を厳しく非難しています。

◆米「民主的プロセスと自由損なう」
アメリホワイトハウスのマケナニー報道官は31日の記者会見で「香港の繁栄を支えてきた民主的なプロセスと自由を損なうものだ」と述べて、強く非難しました。

そのうえで「今回の行為は、香港の人々に自治権と自由を保障した約束を破り続けている中国政府の新たな一例にすぎない」と述べて、中国政府を批判しました。
◆ドイツ 香港との犯罪人引き渡し条約停止
香港政府が立法会の議員選挙の延期を発表したことについて、ドイツのマース外相は31日声明を発表し「香港の人々の権利をさらに侵害するものだ」と批判したうえで、香港との犯罪人引き渡し条約を停止することを明らかにしました。声明でマース外相は、香港国家安全維持法のもとで政治活動への締めつけが強まり、逮捕者が出ていることについて「強く懸念している」とし、「自由で公正な選挙の権利は香港の人々に当然与えられるべきものだ」としています。

香港との犯罪人引き渡し条約をめぐっては、これまでにイギリスやオーストラリアなどが停止すると発表しています。